福井県勝山市にある磯崎建築の住宅を、スカーフ&ライフスタイルショップに改修したものが、このNimbusである。雲のようにふわふわと、地に足のつかないショップブランドを確立させるため、磯崎建築の持つ強い形式性(1050mmグリッドや天井ドーム)を下敷きに、やわらかい可変性(可変性のある大きなテーブルや壁に設置した丸環)を重ねた。すると、ドーム=天、と大きなテーブル=地が生まれ、天と地の間で雲のようにスカーフや雑貨たちがふわふわと漂いながら、臨機応変に展示されていく。状況に応じてチューニングする様は、このショップブランドを確固たるものとする。Nimbusは、磯崎建築の強い形式性を舞台に、雲のように様々な活動をここで展開する。
既存什器カウンターの塗り替え、床の張り替え、新たな什器の仕上げ等に、既存躯体とスカーフ等の商品が共存するよう表面のチューニングを行っている。
表面のチューニングとは、
■打放しのパネル割りにも用いられた1050 グリッドの写しとして什器寸法を設定。
■天板表面にはスカーフを引き立たせ、かつコンクリート躯体も引き立たせる素材として、軽さと硬さを感じる、ホワイトとシルバーのメラミン化粧板を使用。
■人の手に触る、座る、身体的スケール感を感じる箇所には経年変化しやすいラワンベニヤを用いる。
■硬いグレーのコンクリート壁と柔らかいタイルカーペットの床の間にあるカウンターの扉には、相反する質感を調停するスピーカーサランを用い、対面に立つ大理石の壁の質感とも向き合うよう設定。
■コンクリート壁に取り囲まれた苔庭のようでもあり、柔らかめのタイルカーペットの床が、グレーな地(じ)としてスカーフを支える。
■壁に付けた複数の丸環は、ワイヤーを張り、ふわふわとスカーフ等を舞い踊らせるための装置として設定。
表面のチューニングを通じて、硬さと柔らかさが同居した建築が生まれた。