この木製椅子は、いすのせもたれがとても長いことが特徴である。
せもたれが長いことで、どのような効果が生まれるのだろうか。
また、この椅子を利用する人たちに木の良さが伝わるイスの可能性とはどのようなものなのだろうか。
イスからはじまるようなコミュニケーションが生まれる可能性はないだろうか。
せもたれが長いことで、単体としてはイスだが、複数個使うことにより、せもたれの後ろに空間ができる。
そう、せもたれが間仕切りのような役割を果たすことになるのである。すると、イスの配置次第で様々なコミュニケーションが誘発されることになる。せもたれは、後ろの空間と前の座る空間を緩やかにつなげることになる。このイスの材料は比較的入手しやすい杉材でできている。杉は比較的軽量でやわらかく加工しやすい。このことをデザインに落とし込む。このイスは、使用者が自らDIY する計画とする。DIY という作業には、杉はもってこいの材料である。加工しやすく、軽量なので移動しやすい。また、杉のやわらかさは、傷はつきやすいが、その傷が経年変化とともに味となり、イスの歴史となる。杉の持つ独特のにおいにも癒される。そんな木の温かさやにおい等を感じながら、木やイスに愛着を持ち、そこから、コミュニケーションを誘発する装置としての椅子となる。